アーティスト
クリスティーナ・ルカス
Cristina Lucas
1973年スペイン、ハエン生まれ。マドリード・コンプルテンセ大学、カリフォルニア大学アーバイン校で学ぶ。ライクスアカデミーとニューヨークでのレジデンス経験を経て、現在はマドリードで今も制作活動を行なっている。写真、映像、インスタレーション、ドローイング、パフォーマンスなど多領域に渡るメディアを用いて、一般的な通説への異なる読解をもたらす可能性を探り、現在へのより良い理解を提供します。
自らアーティストとして3人の司祭と会話しつつ、芸術と宗教との関わりを取り上げる作品、またラッシュアワーのタイムズスクエアの真ん中で、説教師が通行人に無視されても芸術のもつ力とその必要性を語り続ける映像などには、軽快な社会風刺も織り交ぜられています。ミケランジェロのモーゼ像の複製をハンマーで叩き壊しながら、創作の秘密を明かすように迫るパフォーマンス、またドラクロワの≪民衆を率いる自由の女神≫の絵の女神を、半裸の若い女性が演じる映像は、最後は男性に殴打される悲劇で終わり、歴史や美術史におけるジェンダー差別が提起されています。2014年に東京都現代美術館で開催された「驚くべきリアル」展に出品された≪君も歩ける≫(2006)は、村の飼い犬が二本足で歩いて町に出かけるコミカルな映像ですが、無理して男性のように振る舞う女性や、男性のあり方自体への皮肉も込められています。痛快な批評も交えたルカスの作品は、各地の展覧会に招かれ、賞賛を得ています。
ルカスが国際的に大きな評価を得たのは、紀元前5世紀の世界地図が現代まで変化する2次元のアニメーション≪Pantone -500 +2007≫で、パリのポンピドゥー・センターの収蔵となりました。上野文化の杜の博物館動物園駅での出品作≪Unending Lightning(終わりえぬ閃光)≫は、同様に地図をもとにしつつも、政治、社会構造、国家権力にまで言及する壮大な人類史へと発展しています。
- 近年の主要な個展
- 2008年「トーク」展 スキーダム市立美術館、スキーダム、オランダ
- 2009年「光の年月」展 ドス・デ・マヨ・アートセンター、マドリード、スペイン
- 2014年「資本」展 マタデロ、マドリード、スペイン
- 2016−17年「超越性との取引」展 ジャン大公近代美術館(MUDAM)、ルクセンブルク
- 2016−17年「グローバル・エッジズ」展 OK センター、リンツ、オーストリア
- 2017年「沈黙のきず」展 サラ・アルカラ、マドリード、スペイン
- 主要なグループ展
- 2008年 サンパウロ・ビエンナーレ、サンパウロ、ブラジル
- 2010年 リバプール・ビエンナーレ、リバプール、イギリス
- 2011年 マーコシュール・ビエンナーレ、ポルト・アレグレ、ブラジル
- 2018年 マニフェスタ12、パレルモ、イタリア
- 2018–19年 上海ビエンナーレ、上海、中国
- 2019年 ウラル工業ビエンナーレ、ウラル連邦管区、ロシア
主なパブリック・コレクションはポンピドゥー・センター、ジャン大公近代美術館(MUDAM)、ファン・アッベ美術館、ヘルシンキ現代美術館(KIASMA)、その他。