アーティスト

フェルナンド・サンチェス・カスティーリョ
Fernando Sánchez Castillo

フェルナンド・サンチェス・カスティーリョ

1970年、スペイン、マドリード生まれ、マドリード在住。マドリード・コンプルテンセ大学で美術、マドリード自治大学で哲学、パリ国立高等美術学校でも学ぶ。ライクスアカデミーでのレジデンスを経て、現在は、ジュネーヴにある国連の研究チーム(PIMPA、記憶、政治、芸術実践)メンバー。フランコ政権下で幼少時を過ごしたカスティーリョは、社会や歴史の出来事に鋭い関心を抱き、権力と表象に関わる作因を分析し、歴史的な言説を多角的に批評し、彫刻、絵画、映像で表現します。
スーツ姿の紳士が白馬にまたがり、大学の校舎を優雅に闊歩する≪馬に捧げる建築≫(2002)は東京都現代美術館の「驚くべきリアル」展でポスターにもなった作品で、学生のデモを警官隊の馬で鎮圧しやすいように、フランコ政権時に建てられた母校の建築を逆検証しています。通常はデモ隊を蹴散らす放水車が、水を吹き上げながら見事な踊りを披露する≪ペガサス・ダンス≫(2007)も同美術館のグループ展に出品されたことがあります。危険物を処理する精密ロボットが、抽象画を描き、マルセル・デュシャンのレディ・メイドを見事に制作する映像も同じように、深刻な社会状況においてのみ必要とされる機械や装置が、遊び心のある芸術的な活動を繰り広げ、価値観の転換と芸術の領域の拡張をもたらします。また革命や抑圧への抵抗をテーマとして、中国の天安門広場で、軍隊の前に素手で立った青年の像を3Dプリンターで大小制作し、≪マイナー・ヒーロー≫のシリーズを手がけています。モニュメント、記録、公共の場、伝統は身近な過去を明示する道具となります。芸術と権力の関係を精査することで、歴史的な集団の記憶を浮上させ、ある種のシンボルがいまだに社会を支配する力の構造を検証します。

近年の主要な個展
2010年「恐怖の方策」展 ジェネーヴ近現代美術館、ジェネーヴ、スイス
2015年「越えて」展 5月2日アート・センター(CA2M)、マドリード、スペイン
2016年「今日も晴れた日でした」シケイロス市民アートセンター、メキシコ、メキシコ
2016―17年「狂気の石への招待」デン・ボス・デザイン美術館、セントーヘンボス、オランダ他
主要なグループ展
2010年 イスタンブール・ビエンナーレ、イスタンブール、トルコ
2013年 ヨーテボリ・ビエンナーレ、ヨーテボリ、スウェーデン
2016年 マニフェスタ11、チューリヒ、スイス
2018年 リガ・ビエンナーレ、ラトビア
2018年 「ごたまぜの発展」展 ローマ国立近代美術館、ローマ、イタリア
2018–19年 上海ビエンナーレ、上海、中国
2020年 コスタ・リカ・ビエンナーレ

主なパブリック・コレクションはポンピドゥー・センター、マドリードのソフィア王妃芸術センター、ジャン大公近代美術館(MUDAM)、ユトレヒトの中央美術館他。

参加イベント